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つくり方

油性ペンは水で落ちにくく、割り出しに最適

【割り出し】下絵は描かない
昔は筆で、今は油性ペンで

最初の作業は割り出しです。割り出し機という金属製の道具にガラス生地を乗せ、模様の見当となる線を引きます。昔は筆に墨をつけて割り出しを行っていましたが、今では油性ペンが主流となりました。どんなに複雑な文様を施す場合でも、下絵はこの縦と横の線だけです。

江戸切子の製作では、図案の正確な下絵は描きません。
この割り出し線だけを頼りに複雑な文様を描くのが、江戸切子ならではの技法です。

割り出し線を頼りに粗摺り

【粗摺り】-動画 -
昔は砂で、今はダイヤモンドで

次の作業は粗摺り(あらずり)です。高速で回転するダイヤモンドホイールに水をかけながら、割り出し線を頼りにカットして行きます。

昔は、回転する鉄製の円盤に金剛砂(こんごうしゃ)という砂をペースト状にしたものを塗り付けて粗摺りを行っていました。この時使う砂は、最も粒子の荒い一番砂と言われるものです。

粗摺りの段階の大まかな模様の筋のことを「親骨」と言います。親骨はデザインの全体像を決める重要な要素です。

粗摺りが済んだ部分は擦りガラス状

粗摺りは素早く正確に
すべては経験のなせる業

粗摺りで使うダイヤモンドホイールはかなり目が荒いため、親骨の入った部分は表面がかなりザラザラで、擦りガラス状になっています。
この段階では、仕上がり状態の3分の2くらいの深さまでカットします。

三番掛けが済んだ状態

【三番掛け】職人の腕の見せ所
ここでデザインのすべてが決まる

粗摺りをもとに、より細かく滑らかなカットを施すのが三番掛けです。
ダイヤ500番というダイヤモンドホイールを用いて、模様の細部までカットして行きます。

昔は、鉄製の円盤に一番砂より粒子の細かい砂をペースト状にしたものを塗り付けて行っていました。ガラス生地の硬さによっては、あいだに二番砂を挟むこともあったので、この段階の作業を三番掛け(通称”さんばん”)と言います。この砂をふるいにかけて選別する作業はかなり面倒だったようです。
この三番掛けの段階で、デザインの細部まで決まってしまうため、熟練の腕が必要とされる作業です。

削りの最終工程は円盤状の砥石

【石掛け】削りの最終工程
「磨き」の仕上がりを左右する

砥石(といし)で作られた円盤を回転させ、三番掛けで削られたカット面を均一に均して行くのが石掛けです。この段階で底面も削ります。

石掛けでうまくガラスの表面が滑らかになっていないと、次の磨きの工程でガラスの輝きが再現されません。

最後は柔らかい布で磨く

【磨き・バフ掛け】

ここでは円盤状の木盤(桐)やコルク盤、ゴム盤などにセリウムの粉末を水で練った研磨剤を塗って、回転させながらガラスの表面を磨いて行きます。

更に布製の円盤により粒子の細かい研磨剤を塗って、最終磨きを行います。この工程をバフ掛けと言います。

細部まで磨きがかかったグラス

蘇るガラス本来の輝き

バフ掛けが済んだガラスの表面は、ガラス本来の透明感を取り戻します。カット面は光の屈折により、見る角度によって様々に表情を変えます。

先代の幸雄様発注の研磨機第一号

今では研磨機のスタンダード
先代が発注した日本最初の研磨機

撮影にご協力いただいた根本達也様のお父上である根本幸雄氏は、黄綬褒章も受賞された江戸切子の伝説的な工芸士ですが、この方は素晴らしい作品以外にも多くのものをお残しになられました。
その中の一つが写真の研磨機です。

これは今でも現役で活躍している日本で最初の研磨機です。幸雄氏が亀戸にある黒島鉄工所様に、これこれこんな機械を作って欲しいと発注された物で、その後、様々な分野で使用されることになり、研磨機のスタンダードとなりました。

幸雄氏は、直線と曲線を自在に操り、植物のような柔らかい線を鋭いカットで巧みに表現することを得意とされましたが、その技術を支えたのが自在にガラスをカットできるこの研磨機でした。

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