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東京染小紋とは

遠目には無地に見えるほど繊細な文様が入った反物

東京染小紋の概要

1.東京染小紋とは

繊細で上品な伝統柄による単色染めの「江戸小紋」と、型紙を何枚も使い、創作が比較的自由な「東京しゃれ小紋」の2つを総称して「東京染小紋」と言います。

2.東京染小紋の特徴

東京染小紋の特徴は、幾何学模様の繊細さと格調高い気品があることです。武士の裃への模様付けを起源としており、遠くから見ると無地に見えるほどの細かい模様を型紙で染め上げます。

3.江戸小紋秘話

江戸時代にはたびたび贅沢禁止令が出され、江戸小紋の豪華な柄も取り締まりの対象となってしまいました。そこで考えられたのが、遠めに見れば無地に見えるほど細かい模様にする事でした。
身分が高い武士ほど細かい柄の着物を纏ったため、結果として高度な染色技術が発達し、より繊細で精密なデザインの江戸小紋が生み出されることになりました。

元糊(左)と色糊(右)

東京染小紋の材料

1.生地は絹織物

染める前の白生地には絹織物を使用します。

2.型紙

柿渋を用いて手漉和紙を貼り合わせた地紙に彫刻を施したもの。

3.糊(のり)

元糊は、もち粉と米ヌカに少量の塩を混ぜて蒸して作ります。色糊は、よく練った元糊に染料を入れて、何度も試験染めをしながら作ります。

東京染小紋の歴史

1.小紋の発祥

小紋とは室町時代に発祥し、江戸時代に普及した型染めのことです。大紋型染め、中型染めに対して細かい模様柄の型染めのことを小紋型染めと呼んでいたことからこの名が伝わったといわれています。

2.小紋の発達

小紋の発達は、江戸時代初期に武士の裃(かみしも)に細かな模様が染められるようになってからです。全国の諸大名家の江戸屋敷が置かれたことで、江戸の町には多くの武士階級が増え、小紋の需要もたいへん多くなり、諸大名家では各自特定の文様柄を決めて着用していました。はじめは武士だけの裃小紋でしたが、江戸時代中頃から町人文化が栄えると、小紋染めは庶民生活に必要な着物や羽織等に染め上げるようになり需要が拡大し、盛んに作られるようになりました。

3.明治以降の発展期

明治の初めに発布された断髪令や欧風化の影響により、男子の小紋の需要は大幅に減りましたが、女性の着物としての需要は増え続け、明治中頃には小紋に草花模様を描いた訪問着等ができ、女性の着物の華として今日まで親しまれています。

                  ‐引用:東京都染色工業協同組合‐

4.国の伝統的工芸品に指定

昭和51年、東京染小紋は通産大臣(現経済産業大臣)より伝統的工芸品に指定されました。

伝統的な技術・技法

  • 色彩及び図柄は、小紋調とする。
  • 型紙は、柿渋を用いて手漉和紙をはり合わせた地紙又はこれと同等の地紙に彫刻したものとする。
  • 型付けは、手作業により柄合わせする。
  • 地染めは、引き染め又はしごきとする。
  • 捺染糊(なつせんのり)は、もち米粉に米ぬか及び食塩等を混ぜ合わせたものとする。

引用:東京都染色工業協同組合

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