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インタビュー

人形を見つめる目が優しい名川詠春様

東京下町生まれの江戸っ子
塚田進様(六代目名川詠春様)

東京都墨田区向島。向島の名の由来は「浅草から見て、隅田川の向こう側にある華やかな街」からと言われています。向島は、江戸の時代から花街として栄え、料亭が軒を連ね、現在でも向島花柳界は都内最大規模を誇ります。

今回はそんな向島に生まれ育ち、現在も向島で江戸木目込人形師としてご活躍されている、塚田進様(名川詠春様)にお話をうかがいました。

塚田様は現在、来月(2017年6月)開催予定の展示イベントに向けた人形製作の真っ最中ですが、作業の合間を縫ってインタビューに応じてくださいました。

とにかく手に職をつけたかった
~実は修業時代に一度逃げ出したんです~

小さな頃から祖父である四代目名川春山氏の仕事姿を見ていた塚田少年は、早くから職人に対する憧れを心に抱いて育ちました。
そして高校卒業を機に叔父様である五代目名川春山氏に弟子入りを志願し、住み込みで修業することになりました。

叔父様の家は栃木県藤原町(現日光市)の山奥にありました。隣家まで50m何もないという環境で青春時代を厳しい修業に捧げた塚田青年は、弟子入りから3年が経ったある日、無断で山を下りたのです。
東京の下町に生まれ育った塚田青年は、栃木県の山奥で修業を続けることに限界を感じ始めたのでした。

東京に逃げ帰った塚田青年は、ご友人のお兄様が経営されていらっしゃる飲食店でアルバイトをしたりして過ごしました。
ちょうど3か月が経った頃、そのご友人のお兄様から言われた「せっかく3年も頑張ったんだから最後までやってみれば」という一言で目が覚めたのです。

修業に戻ってからの塚田様は、木目込人形が持つ魅力に惹かれ、伝統の技の習得に励んだことで、弟子入りから5年にして晴れて独立する日を迎えたのでした。

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